映論言いたい放題 Film 213 シン・ウルトラマン

映論言いたい放題

『シン・ウルトラマン』
2022年5月13日公開
■企画・脚本:庵野秀明 ■監督:樋口真嗣
■出演:斎藤工(神永新二・作戦立案担当官)/長澤まさみ(浅見弘子・分析官)/有岡大貴(滝明久・非粒子物理学者)/早見あかり(船縁由美・汎用生物学者)/西島秀俊(田村君男・班長)
■あらすじ:次々と巨大不明生物「禍威獣(カイジュウ)」が現れることが日常になった日本。通常兵器は役に立たず、日本はスペシャリストを集め「禍威獣特設対策室専従班」、通称「禍特対(カトクタイ)」を創設した。ある日、空から突然銀色の巨人が出現し禍威獣と戦い始め、禍特隊は巨人対策任務も兼任することになる。
© 2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 © 円谷プロ
合評参加者:
 岩井康友(こうすけ)(T・ジョイ長岡 映写担当)
 中澤知絵美(T・ジョイ長岡 フロア担当)
 akko(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」「週刊シネマガイド」出演)
 和田竜哉(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」ディレクター、「週刊シネマガイド」出演)

※「ムーヴィーズゴー!ゴー!」FMながおか(80.7MHz)毎週木曜18時30分より インターネットラジオでも聴けます!
※「週刊シネマガイド」ケーブルテレビNCT 11ch、「ちょりっぷナビゲーション」内で放送

akko:今回初参加のT・ジョイのお2人は、世代的にはオリジナルのウルトラマンを知らないですよね。

中澤:そうですね。でも庵野秀明さんの作品が好きなので。シン・エヴァンゲリオン、シン・ゴジラと来て、今回の作品も本当に公開が楽しみでした。実際に見て「これ絶対に(オリジナルの)ウルトラマンを知っていたら面白いんだろうな感じましたね。

和田:「ゼット〜ン」とか、何十年ぶりに聞いたんだろうと思いましたよ(笑)

中澤:帰宅して父に怪獣の名前とか昔の作品にも登場するのか聞いたら、いろいろ嬉しそうに話してくれました。

岩井:逆に当時を知らないからこそ新鮮でかっこいいと思いました。出だしからシン・ゴジラという文字がウルトラマンに置き換わって、たくさんの禍威獣が出てきて……。おおっ何か楽しいぞと盛り上がりました。

和田:畳みかけるようなセリフの多さとテンポの速さは、庵野さんのセンスを感じますよね。

中澤:ですよね。説明や特殊用語をバーって言っているところに「これだよ!」って庵野監督の作風を感じました。禍威獣のフォントがバンっと出てきたときにも「これだ、これが見たかった!」と思いました。

akko:知人の男性でまさにウルトラマン世代ど真ん中の人が「初日の初回に見て大感動した。帰宅しても余韻にひたっている」とSNSにアップしていたんです。当時を知っている中高年から、知らない若い世代まで、両方が感動するというのがすごいところですよね。

和田:単なるリメイクじゃない、完璧に庵野作品になっていますよね。僕も庵野さんたちと世代が近いですが、子どもの頃のワクワクした気持ちを持ち続けて、今になってこのような作品に結実させるのは凄いことだと感じました。

akko:オリジナルを見たくなりましたか?

岩井:そうですね。『シン・ウルトラマン』を見たことで、庵野さんが当時見てかっこよく思った感動を共有できたように感じました。今はスーツがよれている昔のウルトラマンも見え方が全然違うようになりました。

和田:見ている者の予想の上を行く展開に驚かされましたね。樋口監督のカメラワークも面白いし。一度に10台以上のカメラで撮影したりとか、俳優にもスマホで撮ってもらったりとか、特撮と合わせて意欲的なチャレンジをしているようです。

中澤:長澤まさみさんのあっと驚く展開のときに、周囲の人がスマホでバシバシ撮影して、SNSで情報が拡散していきますよね。あのシーンは印象的でした。

岩井:立ち位置として彼女は人類と異星人をつなぐ重要なポイントですよね。

中澤:異星人と言えば、メフィラスを演じていた山本耕史さんがすごかった。一見すると人間でありながら人間でない存在。現実にはあり得ない生命体のあやしさをどうやっってあそこまで演じ切ったのか…。

和田:個人的には『大怪獣のあとしまつ』で国防大臣を演じていた三木作品常連の岩松了が登場したときには、遊び心を感じましたね。やってくれたぜ!という感じで思わずニヤりとしてしまいました。

akko:物語も内容もは全くリンクはしていませんが『大怪獣のあとしまつ』のラストはこの映画に重なりますよね。

岩井:『シン・ゴジラ』はメッセージ性が強い映画でした。『シン・ウルトラマン』はそこまで重くはないけれど、ストーリーは決して薄くないし、見応えがありました。若い世代には特撮の面白さを知るきっかけになるかもしれないですね。

akko:なんと言っても「空想特撮映画」ですからね。

中澤:撮影している人たちが本当にウルトラマンが好きで好きでたまらないことが伝わってくる作品でした。オリジナルに敬意を払いつつ、庵野さんらしさも出ている。ファンにはたまらない一本だと思います。

和田:そうですよね。良い年をした大人たちが本気で楽しんでいる感じが伝わってきて、観ているこちらも楽しくなる作品でした。

T・ジョイ長岡 2022年6月オススメ映画

『峠 最後のサムライ』
2022年6月17日公開

時は幕末。越後長岡藩の家老・河井継之助は、東軍・西軍いずれにも属さない、武装中立を目指していた。周囲の理解を得られぬまま戦争を避けようと努力を続ける。原作は司馬遼太郎の『峠』。長岡市内を始め県内で多数ロケが行われた話題作がいよいよ公開!


© 2020『峠 最後のサムライ』製作委員会

『メタモルフォーゼの縁側』
2022年6月17日公開

17歳の女子高生・うらら。75歳の夫に先立たれたひとり暮らしの婦人・雪。年の差58歳のふたりを結び付けたのはBL漫画への愛だった。2人は雪の家の縁側で、大好きな漫画を読み、語り、友情を深めていく。やがて2人はBL好きが高じて、創作漫画の即売会への出店を決意する。


© 2022「メタモルフォーゼの縁側」製作委員会

リバティデザインスタジオ

新潟県長岡市のデザイン事務所。グラフィックデザイン全般、取材・撮影・ライティング・編集などの業務を展開。

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧