映論言いたい放題 Film 211 ウェディング・ハイ

映論言いたい放題

『ウェディング・ハイ』
2022年3月12日 大安吉日公開
■監督:大九明子
■出演:篠原涼子(中越真帆=ウエディングプランナー)/中村倫也(石川彰人=新郎)/関水渚(新田遥=新婦)/岩田剛典(八代裕也=元カレ)/向井理(謎の男)/高橋克実(財津俊彦=新郎の上司)/中尾明慶(相馬慎治=余興ビデオ担当)
■あらすじ:結婚式、それは新郎新婦にとって人生最大のイベント。プランナーに支えられ、幸せな式を迎える予定の一組のカップルがいた。しかしスピーチに命をかける上司、マグロの解体ショーやマジックを披露したがるお互いの父親など、結婚式の参列者には曲者が揃っていた。果たしてふたりは晴れの良き日を無事に乗り切れるのか?
© 2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
合評参加者:
 池田直樹(T・ジョイ長岡 映写担当)
 akko(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」「週刊シネマガイド」出演)
 和田竜哉(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」ディレクター、「週刊シネマガイド」出演)

※「ムーヴィーズゴー!ゴー!」FMながおか(80.7MHz)毎週木曜18時30分より インターネットラジオでも聴けます!
※「週刊シネマガイド」ケーブルテレビNCT 11ch、「ちょりっぷナビゲーション」内で放送

池田:この映画、結構面白かったですよね。特に男性にとっては思っていることを言ってくれている映画かもしれないですよね。

和田:ああ、結婚あるあるですよね。

池田:僕はまさにこんな感じだったんですよ。ただこの映画の2人と違うところは、嫁も面倒くさがりなので、お互いに納得して式は挙げませんでした。

akko:2人揃ってそれならいいですよね。

池田:それにしても映画を観ていて、やることの多さにびっくりしました。テーブルクロスの色まで自分たちで決めるんですね。

和田:あれはウエディング専門の施設だからだと思います。僕自身の話で恐縮ですが、ホテルウエディングだったんですが、あそこまでオーダーメード的な感じではありませんでしたね。

池田:なるほど。それにしても参列者が曲者揃いで、この映画の笑いはツボにはまりました。

akko:メガホンを取ったのが、大九明子監督ですからね。『勝手にふるえてろ』とか『私をくいとめて』とか最高に面白かったですよね。

池田:あ、それって松岡茉優がアンモナイト好き女子を演じていたあの映画ですよね。僕、あれ大好きなんですよ。何かこの監督とは相性が良いのかもしれない。

和田:大久監督は女性だけあって妄想女子を描いたら天下一品ですね。じつは『勝手にふるえてろ』は長岡ロケ作品なんですよ。主人公が里帰りをしますが、あの一連のシーンは長岡で撮影されました。

akko:先ほどの2作品は大九明子監督自身が脚本を手掛けていましたが、今回はバカリズムさんが脚本なんですよね。

和田:いつも通りの切れが見られるか少し不安でしたが、バカリズムさんの脚本によって今回は男の妄想まで見事に描かれていて、作品の幅が広がりましたね。

akko:私はスピーチ命の上司のエピソードがすごく良かったです。あの情けなさに笑いながらも、どうか上司のスピーチがうまくいきますように……と心の中で祈っていました。

和田:大九監督って芸人養成学校スクールJCAの1期生なんですよね。だからあの「受ける」ことに命をかけて綿密な準備を進めたり、本番を想像して妄想を働かせたりするのは、多分に自身の経験が生きているのでは。

池田:新郎新婦の紹介VTRで自己満足ビデオを作った後輩にも受けました。

和田:あれは絶対にロシアのアンドレイ・タルコフスキーを意識していますよね。

池田:後半のメッセージビデオでは、プロの技を見せていてさすがでした。やればできるじゃん!みたいな。それにしても岩田剛典さん演じる元カレがあんな設定だとは予想外でした。最後にまさかあんなことになるとは。

akko:『カメラを止めるな』的な裏話展開で面白かったですね。

池田:最後の最後の引き出物にまでしっかり落ちがついていて、完璧でしたね。

和田:岩田さんもよくあの役を引き受けましたよね。それにしてもこの映画、伏線と落としが完璧。謎の男もちゃんと絡んできて、最後に見事に回収されて。

池田:この映画を観て、いつか自分の娘が結婚するときには、親として式を挙げてやりたいな…なんて思いました。

和田:結局、結婚式は2人で行う公的な最初のセレモニーという意味合いもあって、自分たちのためだけではないんですよね。それがよく分かる映画でもありました。

akko:結婚式いいかもね、と思える映画でしたよね。影で支えるウエディングプランナーの中越さんの姿を通して「働くって、そもそもどういうことなのか」ということを改めて考える良いきっかけにもなりました。

和田:とにかく面白い作品です。結婚式を迷っているカップルはこの映画を観てから答えを決めても良いかもしれないですよ。

T・ジョイ長岡 2022年4月オススメ映画

『とんび』
2022年4月8日公開

何度も映像化されてきた重松清の感動の名作がスクリーンに登場。時は昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。日本一不器用な男・ヤスとその息子アキラの物語。妻の死を乗り越え、ヤスは人情に厚い町の人々に叱咤激励され、彼らの温かな手を借りてアキラを育ててゆく。


© 2022「とんび」製作委員会

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
2022年4月8日公開

大ヒットシリーズ第3作。魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たちと、史上最悪の黒い魔法使い、グリンデルバルドに立ち向かう!さらに明かされるダンブルドアの秘密とは?


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