映論言いたい放題 Film 206 クワイエット・プレイス 破られた沈黙
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
2021年6月18日 公開
2021年10月8日 Blu-ray&DVDリリース、配信開始
■監督・脚本:ジョン・クラシンスキー
■出演:エミリー・ブラント(エブリン・アボット)/キリアン・マーフィー(エメット)/ミリセント・シモンズ(リーガン)/ノア・ジュプ(マーカス)/ジャイモン・フンスー(謎の生存者)/ジョン・クラシンスキー(リー・アボット)
■あらすじ:音を立てたら、未知なる生物に襲われて即死という極限の世界を生きるアボット一家。最愛の夫リーと住む家をなくし、産まれたばかりの赤ん坊と2人の子どもを抱え、母エブリンは外の世界へと旅立つ。廃工場に逃げ込んだ一家はかつての知人と出会う。そこでラジオから流れた音楽が、一家の運命を大きく変えることになる。2018年の映画『クワイエット・プレイス』の続編。
© 2021 Paramount Pictures. All rights reserved.
合評参加者:
田中大輝(T・ジョイ長岡 アシスタント・マネージャー)
池田直樹(T・ジョイ長岡 映写担当)
akko(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」「週刊シネマガイド」出演)
和田竜哉(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」ディレクター、「週刊シネマガイド」出演)
※「ムーヴィーズゴー!ゴー!」FMながおか(80.7MHz)毎週木曜18時30分より インターネットラジオでも聴けます!
※「週刊シネマガイド」ケーブルテレビNCT 11ch、「ちょりっぷナビゲーション」内で放送
池田:自分は1作目を観ていない状態で観賞したんですよ。でも前章譚が描かれているので十分付いていける作品でしたね。
和田:1作目では、何の説明もなくオープニングからいきなり「音を立てたら正体不明の何かに何かに襲われて死ぬ」という状況に置かれますからね。衝撃的でした。
田中:敵の姿も分からず一瞬にして子どもが殺される。しかも声が出せないから懸命にこらえて涙を流す母親の姿とか、観ているだけで胸に迫るシーンがたくさんありましたよね。
akko:監督は1作目では敢えて詳しい説明を省いたそうです。でも観た人から「初日に何があったのか」「他の人たちはどうしているのか」という疑問が寄せられて、「やはりそれも描こう」と決意したそうです。
池田:続編はつまらないという定説を覆す作品でしたね。
和田:だいたい続編となると、前作より派手にやらなければ飽きられてしまうと気負うことで、かえって作品をつまらなくしてしまうことが多いですが、この作品ではそれをやらなかったのが正解でした。
田中:長女が耳が聞こえない設定で、その彼女の主観になると映画が無音になりますよね。あの静けさがもたらす緊迫感はすごい。
池田:映画館はただでさえ静かで雑音がないから盛り上がりますよね。なので自宅で観るときはヘッドフォンをして世界を作った方がより楽しめると思います。
akko:長女リーガン役のミリセント・シモンズは実際に聴覚障害者なんですよね。
池田:それは知らなかった。
和田:彼女がこの映画の実質の主役ですね。
田中:世界を救うという使命感に駆られてひとりでも闘う姿には心打たれました。
池田:子どもが活躍するホラー映画って考えてみると今まであまりなかったかも。
和田:エイリアンのヒロイン・リプリーの子ども版的な感じが。
池田:ああ、確かにそうかもしれない!最近、ゾンビとかありきたりのモンスターに飽き飽きしていたので、この映画は新鮮でした。
和田:アイデアの勝利ですね。
池田:必死に音を立てないように隠れているときに、カタッっと何かが動く音がしただけでゾーッと怖くなるじゃないですか。
和田:その音の効果を最大限に利用していますよね。無音というのも人を不安な気持ちにさせるものだし。
田中:本当に鳥肌が立ちました。
akko:じつはこの映画「何があっても子どもたちを守る」という、監督の子どもたちへのラブレターとして作った映画だそうです。
和田:監督のジョン・クラシンスキーは、主演のエミリー・ブラントとプライベートで夫婦なんですよね。
akko:その夫婦の間には2人の子どもがいるようです。子どもはいずれ自立するわけですが、守られていた環境から外に出てどうやって生きていくかということを、2作目で描きたかったそうです。
池田:世界が破滅しそうになると、結局は皆生き延びたいから人類同士の争いになるんすよね。あの世界で生きていくのは本当に大変。思わずモンスターを応援してしまう場面もありました。
和田:確かにありましたね。その後希望の光が見えたと思ったら、また絶望させられそうになったり。
akko:最後の最後まで、ずっとドキドキしっぱなしでスリリングでした。
池田:この世界ではアメリカ以外の国がどうなっているいるのか気になりますね。3作目があるならその辺りが描かれるのでしょうか。
akko:もうこれ以上の絶望は観たくないです。2作ともすごく面白かったから、このままキレイに穏やかに終わってほしいかも。
T・ジョイ長岡 2021年10月オススメ映画
『DUNE/デューン 砂の惑星』
2021年10月15日公開
SF作家、フランク・ハーバートが1965年に発表した同名小説を、『メッセージ』『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。遥か未来の宇宙、巨大な虫が棲息する砂の惑星を舞台に、宇宙を支配する力を持つという物質をめぐり、人類は壮絶な争いを繰り広げる。
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『老後の資金がありません!』
2021年10月30公開
ベストセラー小説の映画化。パート勤務の主婦・篤子はブランド品も我慢して節約を心がけ、老後貯蓄に励んでいた。しかし夫のリストラ、子どものハデ婚、舅の葬式代などが重なり家計は大ピンチ。果たして彼女の人生設計はどうなってしまうのか?
© 2021映画「老後の資金がありません」製作委員会