映論言いたい放題 Film 204 騙し絵の牙

映論言いたい放題

騙し絵の牙
2021年3月26日 公開
2021年9月3日 Blu-ray&DVDリリース
■監督:吉田大八
■原作:塩田武士
■出演:大泉洋(速水輝也)/松岡茉優(高野恵)/宮沢氷魚(矢代聖)/池田エライザ(城島咲)/國村隼(二階堂大作)/リリー・フランキー(謎の男)/佐藤浩市(東松)/中村倫也(伊庭惟高)
■あらすじ:大手出版社「薫風社」に激震が走った。創業一族の社長が急逝したことで、次期社長を巡る権力争いが勃発したのだ。辣腕専務・東松は、お荷物雑誌「トリニティ」の編集長・速水に廃刊をちらつかせて圧力をかけてきた。果たして速水はこの危機を乗り切れるのか。曲者たちが闊歩する業界で、究極の騙し合いが始まった。
© 2021「騙し絵の牙」製作委員会
合評参加者:
 小此鬼莉子(T・ジョイ長岡 アシスタントマネージャー)
 三浦佳子(T・ジョイ長岡 映写担当)
 akko(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」「週刊シネマガイド」出演)
 和田竜哉(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」ディレクター、「週刊シネマガイド」出演)

※「ムーヴィーズゴー!ゴー!」FMながおか(80.7MHz)毎週木曜18時30分より インターネットラジオでも聴けます!
※「週刊シネマガイド」ケーブルテレビNCT 11ch、「ちょりっぷナビゲーション」内で放送

小此鬼:大泉洋さんが出てくる作品が好きなんですよ。この人が出演すると必ず面白いものが見られるというイメージがあります。

三浦:私は逆に予告を観たときに「大泉洋か…」と思っちゃったんですよね。コミカルなイメージが強くて、この映画のテイストに合うのか、ちょっと不安になりました。

akko:大泉さん扮する速水という曲者編集長が周りを騙しまくって大団円かと思いきや、まさかの人物が物語の上では最大のジョーカーで驚かされました。

和田:僕は中村倫也くんがいつ出てくるのかと思っていたら、最後のほうに登場して、刺客として活躍したところに意外性を感じました。

三浦:これって原作があって、作家が大泉洋さんを想定して書いたんですよね。

和田:いわゆる当て書きというやつですよね。書いたのは『罪の声』の塩田武士さん。

akko:原作を読んだのですが、映画とは全然違いましたよ。

小此鬼:えっ、違うんですか?

akko:出版業界が舞台で、速水が編集長として雑誌存続のために頑張るというのは一緒だけど、その他は全然違いました。

和田:映画の方はエンタメ性が高かったんじゃない?

akko:そうですね。小説の速水はトラウマを抱えて生きている人物で、大泉洋さんを想定して、よくこんな影のあるキャラクターを作ったなあと驚かされました。

小此鬼:キャラクターというと私は池田エライザが好きなので、彼女が演じていたキャラのちょっとブラックなところとか可愛かったですね。

三浦:モデルっていう設定でしたよね。あの子が「やらせ」でイケメン新人作家と熱愛報道されるところとか、きっと私たちが知らないだけで実際にもこういうことあるんだろうと思いながら観ていました。

小此鬼:あのイケメンはあやしかったですよね。いろいろ騙されましたが、あの人だけは最初から何か裏があると感じました。

三浦:一連の騒動で、発売自粛に踏み切るかどうかとか、最近のスキャンダル一発退場みたいな空気感が出ていましたよね。

和田:あやしいと言えば、國村隼さん演じる大物作家は胡散臭かったですね。ロン毛の國村さんが歌を歌うシーンは受けました。

akko:次期社長を狙う腹黒い東松と速水が書店で、薫風社の本をどの客か買うかを競馬予想みたいに楽しんでいるシーンが個人的には印象に残りました。

和田:業界人は本当にそんなことをやっていそうだ、と思わせるところはさすがです。

akko:社内の覇権争いだとか何だとか言っても、結局二人とも本や雑誌が好きなんですよね。本好きとしてはグッとくる場面でした。

和田:くせ者揃いの面々ですが根底ではみんな本を愛していて、出版業界をなんとかしたいと思っているところが嬉しいですね。

三浦:最後にあれもこうだったのか、これはああだったのかとどんどん回収されていく面白さがありましたよね。

和田:二転三転という言葉がピッタリで、予想の付かない作品でしたね。

T・ジョイ長岡 2021年8月オススメ映画

孤狼の血 LEVEL2
2021年8月20日公開

2018年の映画『孤狼の血』の続編。3年前、暴力団の抗争に巻き込まれて亡くなった刑事・大上の後を継ぎ、彼の薫陶を受けた若き刑事・日岡が広島の裏社会を治めるようになった。だが日岡の前に圧倒的な悪として上林組が立ちはだかる。前作に引き続き、白石和彌監督がメガホンを取った。


© 2021 「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

オールド
2021年8月27公開

バカンスに出かけた幸せな一家。ホテルのスタッフから「お客さまだけの特別サービス」と秘境のビーチに誘われる。だがそこは時間の流れが異常に速い摩訶不思議な場所だった。急速に成長をはじめる子どもたちを観てパニックに陥る大人たち。果たして何が起きているのだろうか。M.ナイト・シャマラン監督最新作。


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新潟県長岡市のデザイン事務所。グラフィックデザイン全般、取材・撮影・ライティング・編集などの業務を展開。

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