映論言いたい放題 Film 207 リスペクト

映論言いたい放題

『リスペクト』
2021年11月5日 公開
■監督:リーズル・トミー
■出演:ジェニファー・ハドソン(アレサ・フランクリン)/フォレスト・ウィテカー(アレサの父:C.L.フランクリン師)/マーロン・ウェイアンズ(テッド・ホワイト)/メアリー・J・ブライジ(ダイナ・ワシントン)/オードラ・マクドナルド(母:バーバラ)/マーク・マロン(アトランティック・レコードプロデューサー:ジェリー・ウェクスラー)/スカイ・ダコタ・ターナー(幼少期のアレサ)
■あらすじ:子どもの頃から抜群の歌唱力で天才少女と呼ばれていたアレサ・フランクリン。しかしなかなかヒットに恵まれず、歌手としてのキャリアは決して順調ではなかった。さらに説教師として絶大なカリスマ性を持つ父親の束縛、愛する夫からの暴力などプライベートでも問題を抱えていた。しかしそれらを乗り越えて自らに向き合ったとき、アレサは新しい歌声を見つけることができたのだった。
© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.
合評参加者:
 下田直道(T・ジョイ長岡 アシスタント・マネージャー)
 三浦佳子(T・ジョイ長岡 映写担当)
 akko(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」「週刊シネマガイド」出演)
 和田竜哉(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」ディレクター、「週刊シネマガイド」出演)

※「ムーヴィーズゴー!ゴー!」FMながおか(80.7MHz)毎週木曜18時30分より インターネットラジオでも聴けます!
※「週刊シネマガイド」ケーブルテレビNCT 11ch、「ちょりっぷナビゲーション」内で放送

和田:これまでの映論言いたい放題は、月刊マイスキップ時代からソフトリリースが決まった映画を紹介してきましたが、せっかくウェブ媒体に移行したわけですから、即時性をいかして今回からは劇場でまさに公開中の作品を取り上げることにします。では早速いきましょう!

三浦:それにしても見事な歌声でしたよね。ジェニファー・ハドソンはもちろんですが、子役の少女がすごくてビックリでした。

下田:歌唱の場面は引き込まれますよね。ライブの盛り上がり方は本当にすごかった。

akko:アレサはあれだけの歌唱力を持ちながらも、デビュー後しばらくはそれほど売れていなかったのが意外でした。

和田:父親が選んだコロムビアレコードがジャズやポピュラーで売り出そうとしていたので、完全なミスマッチでした。スモーキー・ロビンソンからモータウンに誘われそうになるシーンがありましたが、それが実現していたらと想像すると面白いですよ。

akko:アレサ本人もいろいろ問題を抱えた人でしたよね。

三浦:父親の立場からしたら、あんな天才少女で、しかも十代で母親になってしまう娘というのは心配で過保護になるのは致し方ないところもあると思うんですよね。

和田:アレサには子どもが4人いますが、最初の出産がなんと12歳の時でした。

三浦:夫のDVも、おそらく妻は天才で自分は凡才という事実に耐えられないがゆえだったのかなと思うと、哀愁を感じてしまって。

akko:そうかもしれないですね。でも私はどんな事情があろうと女性に暴力を振るう男は許せないので、「生まれ変わるから」と懇願する夫を許すアレサは理解できませんでした。

下田:僕はアルコールに溺れてからのアレサのわがままぶりが我慢できなかったですね。もし自分がスタッフだったら、きっと仕事を辞めて彼女から離れると思います。

和田:私が頑張らねばというプレッシャーが大きかったのかな。

akko:家族と仕事をしていたというのは大きいですよね。だからこそ、支え続けることができたのでしょうね。

下田:そうですね。みんなアレサを温かく見守っていましたね。

akko:私はアレサを初めて知ったのは映画「ブルース・ブラザーズ」でした。だからちょっと太めの陽気なビッグママのイメージで。まさか公民権運動にかかわっているとは思いませんでした。

和田:「ブルース・ブラザーズ」で「Think」を歌うシーンは良かったですよね。アレサの歌は女性たちに高く評価されて、「Think」はフェミニズム運動を象徴する歌になりました。

三浦:アレサの歌以外のそういった部分も、詳しく見てみたかったですよね。初めて知ったといえば、この映画で「アメイジング・グレース」の歌詞を初めて知りました。しっとり歌われることが多いですが、ゴスペルで歌うと印象がまったく違いますね。感動しました。

akko:アレサは決して強い人ではなかった。その彼女が全てを乗り越えてあの歌にたどり着いたことは大きなメッセージですよね。

和田:あのチャーチコンサートを収録したアルバム「Amazing Grace」は超名盤です!そもそもこの映画、サム・クックやらオーティスやら出てきてソウルファンならたまりません!マッスル・ショールズのスタジオミュージシャンとの会話なんかも、ファン心をくすぐるってもんです。

akko:好きだということはよく分かりました(笑)。ところでアレサの歌も感動しましたが、父親が教会で説教するシーンもすごかったですね。

和田:もう胸が熱くなりましたよ。あの場にいたら間違いなく神父の熱烈なファンになっていますね。

下田:最後にオバマ大統領の就任式で歌っていましたね。

三浦:あの年(67歳)であの歌声はすごい。驚きました。

akko:結果的に彼女はアメリカの歴史に大きくかかわることになりましたね。

和田:それにしても音楽映画はいいですね。音響のことを考えるとぜひ映画館で楽しんでほしいです。

T・ジョイ長岡 2021年11月オススメ映画

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© 2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 © よしながふみ/講談社

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