映論言いたい放題 Film 203 花束みたいな恋をした

映論言いたい放題

花束みたいな恋をした
2021年1月29日 公開
2021年7月14日 Blu-ray&DVDリリース
■監督:土井裕泰
■脚本:坂元裕二
■出演:菅田将暉(山音麦)/有村架純(八谷絹)/オダギリジョー(加持航平)/戸田恵子(八谷早智子)/岩松了(八谷芳明)/小林薫(山音広太郎)/押井守(押井守)
■あらすじ:東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから出会った大学生の山音麦と八谷絹。二人は音楽や映画、小説の趣味がそっくり一緒であっという間に恋に落ちた。渋谷パルコが閉店しても、スマスマが最終回を迎えても、日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが、現実を目の前に少しずつ何かがずれてゆく。いつも一緒にすべてが楽しかった二人の〈最高の5年間〉を描いたラブストーリー。
© 2021「花束みたいな恋をした」製作委員会
合評参加者:
 下田直道(T・ジョイ長岡 アシスタントマネージャー)
 斉藤悠騎(T・ジョイ長岡 映写担当)
 akko(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」「週刊シネマガイド」出演)
 和田竜哉(「ムーヴィーズゴー!ゴー!」ディレクター、「週刊シネマガイド」出演)

※「ムーヴィーズゴー!ゴー!」FMながおか(80.7MHz)毎週木曜18時30分より インターネットラジオでも聴けます!
※「週刊シネマガイド」ケーブルテレビNCT 11ch、「ちょりっぷナビゲーション」内で放送

下田:映画の公式インスタグラムに麦くんが就活するときのエントリーシートがアップされていて、出身地が長岡市と書いてあったんですよ。それで劇場のロビーでキャンペーンをしたんです。

斉藤:もうちょっと出るかなと思っていたら、スマホの画面でフェニックス花火を見るという登場の仕方でしたね。

和田:長岡まつり大花火大会の映像素材を提供しただけで、残念ながらロケ撮影はなかったんですよね。せっかくなら何かしらのシーンで来てほしかったですよね。

akko:ストレートな恋愛映画でしたが、いかがでしたか。

斉藤:なんかリアルすぎて、逆にちょっと…見ていてつらいというか。

下田:ドラマ「カルテット」(土井裕泰監督と坂元裕二脚本のコンビ作品)は苦手だったんですが、この映画はスッと入れました。

和田:僕は「東京ラブストーリー」から坂元裕二作品が大好きでずっと追いかけてきましたが、これはまさに30年後の「東京ラブストーリー」だと思いました。

akko:あのドラマが放送される時間帯は、東京の街から若い女性がいなくなるとまでいわれていましたよね。私じつは「東京〜」は全く心に響かなかったんです。でもこの「花束〜」は心動かされました。

和田:坂元裕二さんのすごいところは、世相も若い人の気分も変わっていくなかで、それぞれの時代に即した人物を描きつづけているところですよね。この映画でもそれを実感しました。

akko:サブカルとか結構細かく書いていましたね。

下田:多分、僕の世代はメインターゲットだと思うんですが、出てくる漫画とかリアリティを感じました。

斉藤:それも含めて同じ年代だからこそ、分かってむずむずしちゃうんですよね。

和田:世代は違いますがサブカルの使い方に強く共感してしまいました。細かいことの積み重ねって大事なんですよね。そこで手を抜かないのも好きな所です。

akko:リアルなものも結構出てきましたよね。

和田:ミイラ展は僕も見ていたのでツボでした。あと押井守さんが本人役で登場したのはサプライズでしたね。

akko:あんなに相性のよかった二人が、大学を卒業して社会に出てからはしがらみに絡め取られていきますよね。そして変わっていく。致し方ない部分もあるとはいえ切なかったですね。

斉藤:彼氏のほうの変わり方がヤバいですよね。二人のために就職したといいつつ、どんどんすれ違って彼女の話を聞かなくなって。ああいうリアルさが見ていて分かるし、つらい。

akko:二人のために就職したといいつつ、仕事にどんどん比重を置くようになって。

和田:思いを共有してくれなくなっちゃうんですよね。

斉藤:そうそう。きっとこういう人って本当にいるんだろうなって思いながら観ていました。

下田:僕は逆に仕事で変わっていく麦くんの方に共感してしまいました。でもきっと女性はこういうのが許せないし、分かってもらえないだろうなというのも理解できます。

和田:理想と現実の捉え方や感情表現など、男女間の違いがよく出ていた作品でしたね。

下田:象徴的なのが、最初と最後に出てくるイヤフォンで音楽を聴くシーンなんですが、会話にそれが出ているそうなので、観るときは要注目ですね。

T・ジョイ長岡 2021年7月オススメ映画

竜とそばかすの姫
2021年7月16日公開

『サマーウォーズ』や『未来のミライ』などの細田守監督最新作。
母親を事故で亡くし、心に傷を抱えた女子高生が、インターネット上の仮想空間<U(ユー)>で歌手として人気者になり、やがてコンサートを開くことになる。だが突然現れた竜によってメチャクチャにされてしまい…。果たして竜とは一体何者なのか。


© 2021 スタジオ地図

イン・ザ・ハイツ
2021年7月30公開公開

2008年に最優秀作品賞を含むトニー賞4冠、さらに翌2009年にはグラミー賞の最優秀ミュージカルアルバム賞を獲得した傑作ミュージカルの映画化。
ニューヨークの片隅に取り残された街、ワシントンハイツ。祖国を遠く離れた人々が多く暮らすこの街は、いつも歌とダンスであふれている。そこで暮らす4人の若者たちの運命が大停電の夜に動き出す。


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新潟県長岡市のデザイン事務所。グラフィックデザイン全般、取材・撮影・ライティング・編集などの業務を展開。

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