映論言いたい放題 Film 228 リボルバー・リリー

三浦：豪華キャストの作品でしたね。

大竹：製作費をかけた豪華な作品だと感じました。舞台になった大正時代の街並みも作り込みも見事で。

和田：そうですね。セットにＣＧやミニチュアなどを組み合わせて撮っていると思いますが、花街も含めて大正末期独特の雰囲気を再現していましたよね。昭和の映画黄金期の、「東映が金をかけて作った大型作品」みたいな感じで。

三浦：宣伝もしっかりしていましたよね。予告編もいろいろパターンがあって、主人公の小曾根百合の過去がショートアニメになったりしているんですよ。

akko：それは観ていなかったです。まだ観られるでしょうか？

三浦：多分「東映映画チャンネル」にアップされていると思いますよ。（https://www.youtube.com/watch?v=oP0A4epw5J0）

akko：それにしても綾瀬はるかさん、かっこ良かったですね。もちろん努力もしているんでしょうが、あのキレの良い動きとか見ていると、天賦の才があるように感じました。

大竹：綾瀬さんは最高でしたよね。NHKのドラマ「精霊の守り人」でもアクションがすごいと話題になっていましたよ。

和田：東映ってもともと富司純子さんの『緋牡丹博徒』シリーズとか、梶芽衣子さんとか、女性をダークヒーローにした活劇系の映画が多い。今回もその流れを汲んでいるように感じました。

akko：予告編を何度か観て「あ、これは小曾根百合という女性の過去の回想物語かな」と思っていたのですが、全然違う展開でした。

和田：まさか軍部の闇資金をめぐる物語だったとは、意外な展開でした。意外と言えば、映画の途中で山本五十六が出てきたのは長岡にとって嬉しいサプライズでしたね。

akko：私も知らずに観たので、ビックリでした。しかも演じているのが阿部サダヲさんというのもピッタリだったと思います。五十六って、実は小柄で丸顔で、今までもいろんな人が演じていますが、実像にいちばん近い感じがしました。

三浦：私は先日公開された「藤枝梅安」が好きで、豊川悦司さんが出てきたときは「おおっ」と思いました。

和田：大正ロマン的な衣裳も見どころのひとつでしたね。殺しの前には正装するという設定は面白いなあと思いました。どうやら８着ほどドレスを用意したそうですよ。

大竹：確かに何度も装いが変わっていましたよね。改めてチラシに使われた画像をじっくり見てみると、こんな柄だったのかと思いました。まさに正装ですよね。

akko：それは最後の決戦で身に付けていた白いドレスで、小曾根百合が、白い百合の化身として決死の覚悟で戦いに行く時に身に付けていたものですよね。

三浦：それにしても百合は強い、強すぎる。あれだけ銃弾が飛び交っても平気というのがすごすぎです。

和田：あの白いドレスに鮮血がにじむシーンは、東映のヤクザものに通じる美学を観たような気がします。

大竹：血がにじむと言えば、清水尋也さんが血を流しながら水に浮かぶシーンは壮絶でキレイでしたね。男性ではありますがミレーのオフィーリアを連想させました。

akko：それにしてもこの映画、これで終わるんでしょうか。

和田：百合がスパイになるまでの物語、今回のラストシーンからの物語と、少なくともあと２本は作れそうな気がしますね。個人的には百合が銃を構えた時の二の腕をもう一度観たいなと。

Ｔ・ジョイ長岡 2023年9月オススメ映画