Origami 布施知子の世界 〜OROCHI in 長岡〜 at アオーレ長岡

アート・展覧会

昨年春、大地の芸術祭の会場の一つ、うぶすなの家(十日町市東下組)で「うぶすなの白」という作品を観て、衝撃を受けた。真っ白な紙を折り込んで複雑な形に配されたそれは、あまりにも美しく、指先が生みだす美の世界は、果てがなく素晴らしいと、つくづく思った。
作者は折り紙作家の布施知子さん。与板町(現長岡市)出身の作家ということで、お名前は存じ上げていたが、作品を実際に観たのはこれが初めてであった。

大地の芸術祭より「うぶすなの白」

その布施知子さんにとって、故郷で初となる個展が開催されると知り、アオーレ長岡へと足を運んだ。会場の市民交流ホールAには、80点ほどの作品が並ぶ。今回の展覧会は、与板の元同級生たちが企画してくれて、実現したという。

正方形星組専用ユニットの作品たち。一番大きなものは、なんと1080枚もの紙を使っている

布施さんは1951年生まれ。小学校2年生のときに病気で半年間ほど、学校に行けないことがあった。そのときに、父親が折り紙本をプレゼントしてくれた。以来ずっと折り続けてきた。1枚の紙を折ってできたパーツを組み合わせて作る「ユニット折り紙」の第一人者として、国内外で活躍。最初の個展は、ドイツの美術学校バウハウスの建物を1棟まるまる使って行われた。

華やかで愛らしいと思って近づいたら「アリ地獄」という強烈なタイトルが付いていた
1枚の紙で作られた平折りの作品。ムラ染めで生まれる綺麗なグラデーションを生かしている

柏崎の越後門出和紙を使った作品も並んでいた。照明に関しては今後コラボ作品を展開していく予定だ。どれもこれも素敵だが、本好きとしてはページを開いたような形の照明に心ひかれた。

門出和紙とコラボした照明作品

すっくと伸びた、下の作品のタイトルは「むくむく」。平らな状態から持ち上げると「むくむく大きくなる」ので名付けた。

1メートル以上の高さがある「むくむく」

そしてこちらが、展覧会のタイトルにもなった「OROCHI」。先ほどのむくむくの仲間も交じっているが、オロチという言葉を聞くと、大蛇が鎌首をもたげているように見えてくるから不思議だ。

OROCHI

まさに圧巻のひと言! それにしでもこれだけの作品を、普段はどのように管理しているのだろうか。聞いてみると「かなり小さく折り縮まるので、片づけるとコンパクトで、衣裳ケースに収まります」とのことであった。

ちょっぴりユーモラスに見えてくる

2021年には、ホテル雅叙園東京(東京都目黒区)で開催された『和のあかり×百段階段2021』にも作品を出品し、見事に和の空間を彩った。その様子は、アオーレ長岡のシアターで上映中の映像作品でも紹介されているので、ぜひ合わせて鑑賞してみてほしい。

布施知子さん。インタビュー後、笑顔と共に「頑張れ、折り紙!」とメッセージをくれた

「Origami 布施知子の世界 〜OROCHI in 長岡〜」
アオーレ長岡 市民交流ホールA
2023年5月4日(木)〜13日(土)
10:00〜18:00(初日13:00〜、最終日〜17:00)
500円(中学生以下無料)
布施知子折紙展実行委員会
TEL:090-6262-3686

和田明子 Akiko Wada

リバティデザインスタジオスタッフ/かわいいもの探求家。 新潟日報「おとなプラス」、県観光協会のサイト、旅行情報サイトなどさまざまな媒体にライターとして寄稿し...

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