乙女的読書雑記 1冊目 オチビサン1〜6巻
乙女的読書雑記
著:安野モヨコ
月刊マイスキップ 2014年5月号 vol.160 より転載
刊:朝日新聞出版
朝日新聞で毎週日曜日に連載され、日本中のお茶の間を和ませている可愛い漫画、それが「オチビサン」だ。
オチビサンはいつも赤と白の縞模様の帽子と洋服を身につけており、その正体は不明。(自分自身で「(自分は)どこから来たのか分からない」と語る場面あり)犬も猫も人間も同じように共存して暮らす日本のどこかにある四季豊かな『豆粒町』で暮らしている不思議な生き物だ。オチビサンは毎日遊ぶことに大忙し。といってもテレビゲームなどの昨今のデジタル系の遊びは一切しない。お花見、線香花火、スイカの種飛ばし、枯れ葉踏み、もみじ狩り、雪だるまづくりなどなど自然に親しんで生きている。
気がつけばいつの間にか過ぎていく季節たち。忙しすぎる大人たちはきっと日曜日の朝に「オチビサン」を読んで今咲いている花や季節の風物詩を思い出し、子どもたちは失われつつある日本情緒の世界にふれることができる……そんなステキな漫画なのだ。
しかしいつもは楽しい話ばかりではない。時折ドキリとするような風刺も登場する。しかし決して意地悪な雰囲気ではなく「トホホだよ」という感じで描ききっているところはさすがのひとこと。まさに「オチビサンワールド・豆粒町の世界」がそこには完結している。
すべてのエピソードがほほえましく愛くるしいのだが、特に胸がキューンとしたのは2巻に出てくる物語。10月なのに蝉の声を聞いたオチビサンがその正体を知って取った行動に涙腺ウルウル。最後のヒトコマにはまるで美しい文学のようなオチが待っていた。
現在「オチビサン」は6巻まで出ており現在も連載中。どうか「サザエさん」のように末永ぁ〜く続いてほしいと思うのでした。(了)






